「聞いてるのか?」




肩に手をかけられ、ぐいっと無理やり後ろを振り向かされる。




と同時にわたしは鞄を自分の顔の前に置き、なんとかして陵駕に顔を見られること阻止しようとした。




「…なんですか?」




「お前こそなんですかだ。なんだその鞄」




「今、顔に鞄押し付けることがわたしのマイブームなんです」




なんて苦しい言い訳をして、なんとかこの場を乗り切ろうとした。





「………そうか」




なんの突っ込みもなしですか!!




ちょっとは突っ込んでほしかったとか複雑な気持ちを胸に抱き、わたしはソソとその場から離れようとした。






「なんか遠くに行ってる気が…」




「き、気のせいです。それじゃあ、わたしはこれでっ!!」




「あっ、おい!!」




陵駕の呼び止める声にも耳を貸さず、わたしは一気にその場からダッシュで走って逃げた。