「ありがとう」が言えなくて

周囲が急に騒がしくなりだした。

何が起こったのだろうと顔を上げてみると、そこには金色の頭があった。

その人は、あたしがこぼしたおかずを無言で拾いあつめる。

あたしは、どうしていいか分からずただ呆然としていると、おかずを拾い終わった彼は、あたしの方に近付いてくる。すると、途端に周りの、特に女子からの悲鳴が聞こえてきた。