俺は人気のない道を走る。
 制服も慌てて着たもんだから、酷いことになっている。
 そこへ踏み切りにあたった。

 しかも最悪なことに電車が来るのとバッタリあった。

「ちょ、急いでんだよ!」

 返事なぞするはずがない。

 俺は無意識に足踏みをする。
 その間に制服をパッパと直す。

 俺、霜野光輝。
 晴楼(セイロウ)学園に通っている中学二年生。
 性格はパッとしないが、言いたいことはきちんと言う。


 俺は電車が渡るのが待てず、苛々しながら何故か鞄を漁る。

「うわっ! 数学のノート忘れた!」

 不運な男である。

 そんなことをしている間に電車は渡りきっていた。
 光輝は鞄のチャックをしめると、一目散に走り出した。