マリア

 徳二郎の言葉を聞いて、マリアは驚いた。だが、なんとなくわかる気もする。お腹が大きくなるに連れ、徳二郎の気持ちがより多く伝わるようになってきている。
 マリアはそっと自分のお腹に手を当てた。まるで「そうだ」と返事をするように、トンと軽い衝撃が伝わる。
(さっき、寝ぼけて起きたときにね、この子達が僕に言ったんだ。「パパに逢いたい」って)