マリア

(………)
 突然、徳二郎が思いを切った。
「どうしたの?」
(僕は、今までずっと君に謝りたかった。ごめん。僕が君に会いに来たのは自分の為だ)
 マリアは首を振った。どうして謝ることがあるというのだろう。徳二郎が会いに来なければ、自分は本当の愛を知ることはなかった。そして、新しい命も……。