マリア

 年をまたぐ頃になると、マリアは妊娠六ヶ月になっていた。妊娠してすぐに、お腹の子は双子だということがわかった。酷いつわりもなく、少し下腹部が膨らみを帯び、女性らしい雰囲気を漂わせる。
 徳二郎はというと、年が明けてからは眠っていることの方が多くなり、起きていても喋ることも出来ず、ただ愛しげにマリアを見るのだった。せめて、子供の顔を見たい。徳二郎は切に願うが、もう自分の意識が覚醒していられる自信さえも失いそうになっていた。