マリア

 徳二郎は、涙が溢れた。
 ここに、僕の子供が居る。いちばん愛しい人との、結晶。尊い生命が宿っている。ああ、マリア。君にどうすればこの気持ちが伝わるだろう?もう、言葉は使えない。マリア、マリア……。
「徳二郎、何も言わなくていいよ。ちゃんと伝わる。この子にも、私にも」
 そう言って、マリアは聖母のような微笑を浮かべた。
 君に出会えて、良かった。
 徳二郎は気持ちを抑えられず、また涙をこぼすのだった。