自分のお腹に触れた徳二郎の手の上に、マリアがそっと両手を重ねる。マリアの手と、そしてお腹から温もりが伝わった。『赤ちゃん』、赤ん坊、二人…僕と、マリアの。徳二郎は体を起こそうとした。マリアが、もう自力で起き上がれない徳二郎の体を引き寄せ、向かい合う。徳二郎は視線を下へと落とし、しばらく見つめた後、静かに身体を屈め、お腹に顔を付ける。マリアは優しく徳二郎の髪を撫で、「貴方の、赤ちゃん」と言った。