「‥じろう。……とく‥じろう、起きて」
 心地よい夢から、徳二郎は引き戻された。うっすらと開いた瞳に、先ほど見ていた夢の中のマリアが映る。
「あ…ありぃあ…」
 徳二郎はもうマリアの名前をはっきり言えないほど、悪化していた。いつものマリアなら、少し悲しげな笑顔を見せ、優しく口づけをするのだが、この日は違った。徳二郎の目に飛び込んできたのは、嬉々としたマリアの顔だった。よく見ると、マリアはベッドに寝ている徳二郎の上に馬乗りになっている。そして目を覚ました徳二郎を確認すると、いきなり自分の着ているトレーナーを脱ぎだした。