「マリアが居てくれる。それだけで、幸せだよ」
 そう言って抱きしめる徳二郎の腕が、段々と細くなっていく。ほのかに暖かい温もりだけが、マリアの折れそうな心を支えていた。
 外の木々が、薄い衣を脱ぎ裸になった頃、二人にひとつの灯火が見えた。