「この八王子医療センターが出来たときに、原田は日本に帰った。僕はまだドイツにいたけど、去年両親が事故で亡くなったんだ。それでこっちへ戻ってきたんだけど」
徳二郎は一旦言葉を切り、こう続ける。「親不孝な息子だったな」と。
「頭がいい子供ではあったけど、小さいとき思っていたんだ。見捨てられたって。ばかにずっと、この年になってもわからないで一度も日本に帰らなかった。亡くなってから、はじめてわかったよ。もっと、大事にすればよかったって」
マリアは悲しげな顔の天使をそっと抱きしめた。顔は笑ってはいるが、心が泣いている。徳二郎もまた、マリアを抱きしめ、胸に顔をうずめた。そして、静かに、つぶやくような声で言った。
「僕も、もう長くはないと思う・・・」
一瞬、マリアは徳二郎が何を言ったのか理解できなかった。
徳二郎は一旦言葉を切り、こう続ける。「親不孝な息子だったな」と。
「頭がいい子供ではあったけど、小さいとき思っていたんだ。見捨てられたって。ばかにずっと、この年になってもわからないで一度も日本に帰らなかった。亡くなってから、はじめてわかったよ。もっと、大事にすればよかったって」
マリアは悲しげな顔の天使をそっと抱きしめた。顔は笑ってはいるが、心が泣いている。徳二郎もまた、マリアを抱きしめ、胸に顔をうずめた。そして、静かに、つぶやくような声で言った。
「僕も、もう長くはないと思う・・・」
一瞬、マリアは徳二郎が何を言ったのか理解できなかった。
