マリア

 頭が良すぎる。徳二郎が言うには、その時小学二年だったが、すでに大学の入試問題を解けたという。周りの者は驚き、徳二郎の身の置き方を心配した。頭はいいが、言葉は喋れない。しかしこのまま普通の学校に通わせるのも問題だ。そこで出た答えは海外の学校に行ってはどうかということになった。外国ならば、言葉が喋れないのは外人だからと思ってもらえる。それに徳二郎は、ほとんどの国の言葉は聞けばすぐに理解できていた。それならば問題はないだろうということで、事情を説明し、ドイツの大学で学ぶことになったのだという。それが、小学校三年の時だったと。