マリアのアパートに着くと、濡れた体も乾かさず、玄関に入った途端、また唇をかさねた。キスをしたまま靴を脱ぎ捨て絡み合う。濡れた服はそのままに、お互いを激しく愛撫した。
「ま、待って。これじゃ二人とも風邪を……んっ」
 マリアが唇の離れた隙に言うが、男はその言葉を遮るように開いた唇を塞いだ。唇は幾度もかさなり、やがて下へと這っていく。しっとりと濡れたワンピースが体に張り付き、マリアの女らしく美しい曲線を演出している。男の手と唇が、マリアの乳房を優しく包む。小さく吐息を漏らすと、今度は激しく吸いついた。その次にやってきた快楽に身悶えし、マリアは身体を反らす。それを追うように男の唇がまたマリアの唇を求めた。
 なんと心地が良いのだろうか。男はマリアが求めるように身体を満たしてくれる。ひとつになってもそれは変わらなかった。男が腰を動かす度に激しい快感が襲ってくる。身も心も満たされるとはこの事をいうのかと、頭の隅で感じていた。もっと続けばいいと思い、またもう果ててしまいたいという葛藤を繰り返し、男の背中にしがみついた。男は小さなうめき声を上げ、果てた。ふわりとマリアに体を預ける。その温もりで、マリアは昇華した。