「さて、やりますか。」






スタジオについて早速練習が始まった。






「やろう、この曲…片思いなんだ、何か切ないね。」




「そう、柴依瑠の声なら気持ちも入れて最高の曲になる。」




「…でもやっぱり難しい…。人と人魚なの?木と少女?」





「そこ、わかれよ!!(笑)」





ホント深すぎてあんまりわからない…。








"木にもたれかかる少女…彼女の鼓動と想いが伝わる…海の奥深い暗闇で彼女の儚い想いがさらに闇を増す。"






"彼への想い伝えたいけど届かない…せめてこの歌声聞かせたい。悲しみに眠る彼へ送る歌。"









「内容を簡単に訳すとこんなとこ。」





「全然訳になってない…けど、分かった。それだけで十分。」






鬼瑠亜とのコンビももう2年経つ。







だから、わかるようになってきた。








もっと簡単に言えば…入院してる彼に声を届けたい。彼女もまた患者、せめて彼に声だけでもってこと。







「さすが、じゃ…何回か歌ってみて。」












そこから1時間歌いっぱなし…。












「よし、今日はこれでおわり。さすがだな、メロディーはばっちりだ。あとはもう少し切ない感じで…ね?」






「わかってる。私も思ってたから。」






「じゃ、次みんなでやるまでに完璧にしといてね!!」




「任せろ!!ニコ」