「先日のパーティでね」と、私は理沙ちゃんにポツリポツリと話だした。

「大輝さんには信じてもらいたいって思った私がいけなかったのは、わかってるんだけど……」

 私の言葉に、理沙ちゃんが小首を傾げた。

「なんで?」

「だって私たちは、お互いの夢をかなえるために契約しただけの……」

「それはきっかけ。夫婦なんだから、信頼関係を築きたいって思うようになるのは当たり前じゃん。悪いのはお兄ちゃんだよ。あ、あと部屋に連れ込んだ新垣もね!」

 理沙ちゃんが鞄の中から、再度携帯をとり出した。

「とにかく。結婚式は二人で決めるべき! お兄ちゃんが来ないのはおかしい!」

 理沙ちゃんがソファを立つと、携帯を開く。

 もしかして理沙ちゃん、仕事中の大輝さんに連絡をしようとしているのかな?

 私は慌てて、理沙ちゃんの携帯を握りしめた。

「理沙ちゃん、今日はもう帰ろう! 駅前で美味しいケーキでも食べようよ」