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色々と話しながら作業しているうちに外はもう真っ暗になってしまった。
7時の下校時刻まであと5分になってしまった。
「今日はありがとね。おかげで助かっちゃったよ。あとは新書を並べるだけだから先に帰っていいよ。」
理沙は言った。
「いいよ。ってか一緒に帰ろうよ。」
「ごめん私今日塾なの。」
「そっか……」
お言葉に甘えて先に図書室を出た。
外は真っ暗で街頭の灯りがアスファルトの道を校門まで照らしていた。
サッカー部の連中が丁度片付けを終えて帰っている所を女の私は独りで歩いていた。
バスケ部のケンタもそろそろ終わったころだろうか……
それともミーティングだけなのでもうとっくに帰ってしまったのだろうか。
「あれ?」
サッカー部の集団の前にケンタらしき後ろ姿を見つけた。
「ケン……」
ケンタを呼んで隣に行こうと思ったがやめた。
というかやめざるを得なかった。
ケンタの隣には女がいたのだ。
暗くてよくわからなかったが私ではない誰かであるのは確かだった。
だって私はここにいるのだから……
「浮気……」
ケンタの横を走って通り過ぎた。
そして家まで全速力で走って行った。
その時、ケンタは私が通ったことに気付いただろうか。
「ケンタの馬鹿、馬鹿、馬鹿。ケンタなんて死んじゃえばいいんだー」
女とは思えない罵声を上げながら私は人通りの少ない暗い道を駆けていった。
その夜はケンタに電話を掛けなかった。
いつもなら午後8時にこちらから掛けていたが今日はそんな気分じゃなかった。
もしかしたらミーティングっていうのも全部嘘であの女といちゃいちゃしていたのではないかと疑い出すともうケンタを信じられなくなっていた。
すると聞きなれたGREEEENの着信音が流れ出した。
