「隣、すわっていい?」

あ、理由きかないでくれる。
それにさっきよりずっと、
優しい笑顔。


「うん」

「俺ね、なんか、わかるよ
 優歌の優しさとか??
 さっき出会ったばっかなのにな?」


運命とか?なんてふざけて笑う
彰さんに、もう恐怖心は
ほとんどない。


隣に座って、話してる。
もうこんなこと男子とは
できないと思ってたから。



「………それ」
ふと気付けば彰さんの視線は
あたしの手首。


「ぁ。ちょっと怪我しちゃって」

へへ、っと笑ってごまかす

「優歌どんくさそうだもんな。
 気を付けろよーつっても
 今日からは俺が守るんだけど」



守る………つねにだれかに
守られてる弱いそんざいのあたし

なにか自分で……
どうか自分も…



「さむい?」

肩にかかる彰さんのジャケット

「え……」

「手震えてっから。」

「ありがと………」



暖かい、人って。
彰さんは……ほんとは全部
わかってるんじゃないかな?

不安になるほど優しい。
このときのあたしは
蓮たち以外、無条件の愛を
くれるひとなんていないと
思ってたんだ。