蓮の家を出た瞬間
涙は止まらなくなった。
時刻は夜の11時、こんな暗い道
一人で歩けるはずなかった。
蓮の家の前にただ立ち尽くす。
「優歌!よかった……外真っ暗って
気づいてっ」
息を切らした蓮に抱きついた。
苦しかった。怖かった。悔しかった。
会いたかった。寂しかった。
虚しかった。辛かった。痛かった。
声にならない声は重なる肌を通して
蓮に伝わっていく。
だって蓮も泣いてたから。
大好きな笑顔が、なかったこら。
蓮、ごめんね。
たくさんのごめんねは
どうしたら伝わるかな?
言い切れないほどの
ありがとうは、どうしたら
伝わってくれる?
どうしたらまた、笑ってくれる?

