「なにか忘れ物?」
「ぁ、携帯を」
「一緒にいくよ、危ないし」
「はぁ………」


あなたが一番危ないのでは?
と思いながらも一人よりましかな。
と許してしまった。



「あった、ありがと坂上くん」
「はっ、ははははははっ!」



なに?なに笑ってるのこの人?



「ほんと可愛いよね、むかつく」
「むかつく?」



ジリジリあたしに詰め寄ってくる。
「やだっ!やだやだやだやだ!」
「そんなに怖がらないでよ、
 優しくするから」



壁に押し付けられた。
フラッシュバックする記憶。
坂上くんの顔にあいつの顔が重なる。



「やだ、いやっ!お願い!おっ、ねが
 いやめて……」
「泣いてる方がそそるねぇ」



床に押し倒される、ブレザーのボタンが
前回にされる。



ぜんぶあのときと同じ。
男の力に叶うはずない虚しい抵抗。
カッターのボタンもすべてはずされた