「おはよ」 「蓮、おはよ」 蓮の黒い傘があたしの赤い傘にぶつかる 「お前ちゃんと傘きろよ、濡れてっぞ。 体弱いんだからだよぉ」 「弱くないよぅ」 相変わらず心配性だなぁ。 梅雨の空は厚い雲におおわれて暗い あったかくて大きな太陽も見えなくて あの頃のあたしを思い出す。 またあんな悪夢のような出来事がおこるなんて。 誰も予想できなかった。