不良狼の一途な溺愛


「早崎(ハヤサキ)、てめぇ…いい加減にしろよ。さっきから鬱陶しい。」


紫堂君はバッサリと言い捨てると、大きな溜め息を零した。


「えーっ、何よ〜!そんな言い方しなくてもいいじゃない。」


「本当のことを言ったまでだ。ったく、朝からウザい。それに馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶんじゃねぇよ。」


た、確かに…しつこい感じだったのは否めないけど、何もそこまで言わなくてもいいんじゃ……。


早崎さんが少し可哀想に思えてしまった。


「いいじゃない!たまには付き合ってよ〜!」


少し拗ねたように口を尖らせる早崎さんを睨みながら、紫堂君は絡められていた腕を容赦なく振りほどいた。



「うるさいって言ってんだろ。放課後は用事があるから、てめぇに付き合ってるヒマはねぇんだよ。」


「えーーっ!用事って何よ!」


「なんだっていいだろ。とにかく、教室に戻れ。」


ピシャリと冷たい声で言い放つ紫堂君に、体が震えあがってしまった。


恐すぎる…。


なんだか、朝から凄まじい光景を見ちゃったな…。


バクバク動く心臓の辺りを擦って、気持ちを落ち着かせようとしていると、紫堂君は私の席の方に近付いて来た。