ひゃっ!!
ビックリした私は、慌てて目をそらして俯いた。
ジーッと観察してたから、視線を感じたのかな…。
すごい鋭いというか、敏感というか…。
恐ろしい人だなぁ、紫堂君。
あまり凝視するんじゃなかった…と私が後悔している間も、茶髪の女の子はめげずに紫堂君に話し掛けているみたいだ。
「ちょっと蓮ってば〜!ねぇねぇ、蓮っ!」
何度も名前を呼ぶ、とびっきり甘えた声は、だんだんしつこさを感じてくるほど。
いくら紫堂君でも、さすがにイラついているんじゃないだろうか…。
そう思い、ヒヤヒヤしていた時だった。
「うるせぇな…。」
紫堂君の低い声が教室に響き、一瞬…空気が凍りつく。
ゆっくり顔を上げて様子を伺ってみると、眉間に深々とシワを寄せて、茶髪の女の子を睨んでいる姿が映った。


