不良狼の一途な溺愛


「ケンカは…やめて?」


この二人が本腰入れてケンカをし始めたら、スゴいことになりそう。


そんなことにはなって欲しくないので、小さな声でお願いをした。



「け、ケンカ…してるわけじゃねぇから、そんなに心配そうな顔するな。柚がいるのにケンカしたりしねぇよ…。」


慌てて私に声を掛けてくれる蓮君。


お兄さんからはクスッと笑い声が聞こえてきた。


「蓮は柚ちゃんに頭が上がらないみたいだな。」


「うるせぇな。兄貴は早く自分の家に帰れよ。」


蓮君は鬱陶しそうに言葉を放つ。


表情は何だか照れくさそうだ。



「あっ、そうそう。蓮に言いそびれたこともあったから、ここに来たんだ。」


「なんだよ、言いそびれたことって……。」


別に聞きたくない…といったオーラの蓮君に、お兄さんはニンマリと笑う。


すると、リビングを抜けてキッチンへと入って行った。


ど、どうしたんだろう?


首を傾げていると、お兄さんはすぐにリビングへと戻ってきた。