「ご、ごめん…。俺、気持ちが高ぶっていて、自分の気持ちが抑えられなかった…。突然でビックリしたよな?お、驚かせてごめんな。」
蓮君は、フワフワと私の頭を撫でた。
「えっと、俺…ちょっとタイミング悪かった…?」
「…最悪だ。」
気まずそうなお兄さんの声に即答した蓮君は“はぁ…”と小さなため息を零した。
「…なんで、ここに戻って来たわけ?」
「蓮の帽子が倉庫に落ちてたから、持って来たんだよ。」
「あー、確か…倉庫でアイツらと話してる時に帽子とったからな…。だからといって、わざわざ届けに来たりするかよ。空気読め。」
「まさか、こんなことになってるなんて思わなかったんだよ。そもそも、俺に邪魔されたくないなら自分の部屋に行けよ。」
「……なんだと?」
えぇっ、ちょっと待って!!
兄弟ゲンカ勃発してるよ…。
何もこんな時にケンカしなくても…。
私は、オロオロしながら蓮君の服をキュッと握りしめた。


