それからまもなくして、聞こえてきたのは…殴る音や誰かが地面に倒れるような音。
次々と耳に入ってくる。
蓮君がどんな状態になっているのか気になるけれど……
怖くて、目を開ける勇気はない。
だから、蓮君が大ケガをしないように、ただただ無事を祈るばかりだ。
あれだけの人数だし、みんな強そうだから……かなり長期戦になるよね…。
本当に大丈夫かな…蓮君。
心配や不安を抱きながら、ビクビク体を震わせていると、不意に体が温かいものに包み込まれる。
こ、この香り…。
ドキンと胸を高鳴らせていると、耳元に吐息がかかった。
「柚、お待たせ。終わったから目を開けてもいいぞ?」
れ、蓮君っ…!
その声にパチッと目を開けて、顔を上げる。
するとそこには、私に温かい笑顔を見せてくれている蓮君の姿があった。


