不良狼の一途な溺愛


その後、まともに蓮君の顔を見ることが出来ないまま歩き、気付けば私の家までやって来ていた。


「あの、送ってくれて…ありがとう…。」


「…おう。」


ぎこちなくお礼を言うと、蓮君は少し名残惜しそうに私の手を離す。


自分の部屋で早く心や顔の火照りを落ち着かせたい…。


そう思いながら、“じゃあね”と言って、家に入ろうとした時…


「あっ、そうだ!」


突然、何かを思い出したかのような声を発した蓮君にビックリしてしまった。


「そう言えば、柚に渡したいものがあった。」


「私に…?」


一体、なんだろう…。


蓮君に貸しているものは特に何も無いし…。


思い当たる節がなくて、首を傾げていると、蓮君は私の前に小さなピンク色の紙袋を差し出した。


「これ、柚にやる。」


「えっ?」


パチパチと瞬きをしながら、紙袋を見つめた。