「どっ、どうしてよ。」


絞りだすような声が漏れる。


蓮君に掴まれていた腕を勢いよく振りほどいた早崎さんは、キッと私を睨んだ。


「どうして蓮は…この女に構ってばかりなのっ!?ねぇ、どうしてっ!?」


プイッと私から視線を外した早崎さんは、蓮君を真っ直ぐ見つめる。


目には涙が浮かんでいた。



「そんなの、決まってんだろ。」


呟くような声を零した蓮君は、早崎さんに強い眼差しを向けた。




「柚のことが、何よりも大切な存在だからだ…。」


えっ…?


蓮君の言葉に、私はパチパチと瞬きを繰り返す。


心臓がドクンッと大きく波打った。