強引に連れて来られたのは、体育館の裏側。
人気のない静かな場所だ。
私の腕を離した早崎さんはギロリと鋭い目つきで私を睨む。
取り巻きの女の子たちからも鋭い視線が注がれ、体がビクリと反応してしまった。
「アンタ、ずいぶん…蓮と仲良くしてるみたいじゃん。」
「えっ?」
「昨日、蓮と駅前でデートしてたらしいじゃない。目撃者がいるのよ?」
早崎さんは、すぐ隣にいた女の子に目配せをした。
「なんか、蓮くんの隣を歩いていて、すっごく図々しい感じでした。こんな女より栞菜(カンナ)さんの方が相応しいのに。」
その子はフンッと鼻を鳴らした。
早崎さんって、栞菜っていう名前だったのか…。
初耳…。
いやいや、そんな悠長なこと考えてる場合じゃないよ…!!
まさか早崎さんの取り巻きの子に見られてたなんて…。
冷や汗が次々と出てくる。
重苦しい空気に息が詰まりそうだ。


