「ちょ、ちょっと待って。今…お財布出すから。」 「は…?」 蓮君は間の抜けたような声を出した。 「お前、何してんの?」 「な、何って…。お金を出せ…ってことなんでしょ?」 「そんな訳ねぇだろ!どうして、そういう発想にたどり着くんだよ。」 「だって、“あれ”じゃ分からないもん。名詞を言って下さい!」 思わず本音が飛び出してしまった。 超能力者じゃないんだから、分かるわけないじゃん。 私が口を尖らせると、蓮君は気まずそうに咳払いをした。 「携帯、ちょっと出せ。」