「柚ってさ、見ていて飽きないヤツだよな。」
「そ、そう?」
「ああ。ずっと見ていたくなる。」
穏やかな眼差しが真っ直ぐ私へと注がれた。
そ、そんなに見つめないでよ…!
心の中では、“きゃああ”とか“ひゃああ”といった悲鳴が飛び交う。
このまま、ずっと見つめられたりしたら、たまったもんじゃない…。
きっと、力強い瞳に圧倒されて、この場から動けなくなってしまうだろう。
それは避けたい。
そう思った私は、お店のアクセサリーや雑貨を見始めた。
「わぁ〜!スイーツモチーフの雑貨、新作が出てる!このマカロンの携帯ストラップ…美味しそうっ!」
目にとまった、チョコマカロンのストラップをツンと指で突いて揺らすと、蓮君はフッと吹き出すように笑った。
「普通、そこで“美味しそう”って言うか?」
「だって、そう言いたくなるぐらい細かく作られてるんだもん!これ、いいなぁ…。買っちゃおうかな〜!」
まさに一目惚れだ。
こういう場合、いつもすぐに購入してしまう私。
レジに持って行こうと思い、ストラップを手にとろうとした時だった。
「わぁ!紫堂君だぁ〜!」


