「私のために、このお店に連れて来てくれたの…?」
蓮君はコクンと頷いた。
連れていきたい店…って言うから、てっきり蓮君の行きつけのお店とかに案内されるんだと思ってた。
でも、そうじゃなかったんだ……。
「あ、ありがとう…蓮君。」
一度は入ってみたかったお店だけに、嬉しい…。
そう思ったけれど、お店の前にズラリと並んでいる人たちを見ると、なんだか気が引けてしまう私がいた。
この様子だと、待ち時間は…おそらく1時間ぐらい。
もしかしたら、それ以上…時間がかかるかもしれない。
その間、蓮君を一緒に待たせるのは…申し訳ないよね。
待つのが好き…っていう感じでもなさそうだし。
「柚、さっさと並ぶぞ。」
「あっ、待って!!」
列の最後尾に行こうとする蓮君を慌てて引き留めた。


