ガルドラ龍神伝―闇龍編―

「ミントと言ったよね?」


「ええ、そうよ。それが何か?」


ミントは、冷ややかに笑った。


リタはその態度を許さなかった。


「君は自分で何を言ってるのか、わかってるの?


今の発言といい、神殿に入ってきた時の態度といい……。


君は完璧に腐ってる!


君は軽率な発言で、私の大事な弟的存在のヨゼフを傷つけた。


だから、私は君を絶対に許さない!


許すもんか!」


リタは頭に血がのぼっている。


それはいつもの彼女とは違った、別の何かが入り混じった感情があるようにも見える。


「クロス・ヒャッカンタフ(交差する砂の爪)!」


リタはミントに対する怒りを、≪クロス・ヒャッカンタフ≫という名の中級呪文に絡ませて放った。


彼女が放った呪文は、橙色の閃光となり、ミントに直撃した。


ミントのマントは、跡形もなく破けてしまった。


「なかなかやるわね。今度会った時は、こうはいかないからね」


ミントは吐き捨てるように言うと、姿を消して逃げた。


リタは安堵の胸を撫で下ろすと、地面に座り込む。


「疲れた。


なんて子だよ、あのミントって魔道師は。


ヨゼフ、村に帰ったらじっくりと、あの子のことについて教えてもらうよ」


「……了解」


いつもは反抗するヨゼフも現時点では、リタに従うしかなかった。


戦闘が終わり、窮屈な場所に隠れていたプレシオが出てきた。


「三人ともありがとう。君達のおかげで、神殿の悪霊達も、とりあえず身をひいてくれたみたいだ。それに、プレシオが無事で良かった」


ヒアは、笑顔で三人に礼を言った。


「さて、葉龍女神ルナとご対面だ。神殿を荒らしてしまったから、それを償わなきゃな」


ヒアはいつになく上機嫌だった。


四人はプレシオの案内で、葉龍女神の祭壇に行った。


「あたしがここに来た本当の目的は、葉龍女神にお祈りを捧げるためだったの。でも、その途中で、気になる気配を感じて、戻れなかったんだ」