ガルドラ龍神伝―闇龍編―

「よし、わかった。今回は特別に、お前達を神殿に行かせてやろう。


後でこのことは、クリカ族長に知らせておく。行ってきなさい」


四人に対して、番人達は神殿に続く道を開けた。


リタとヒアは、静かに頭を下げ、礼を言った。


四人はひたすら、神域の奥を目指して走る。


「ヒア。あんたの妹って、何歳?」


「ヨゼフ! それを聞いちゃ、失礼よ」


「良いよ、ナンシー。俺の妹は、丁度ヨゼフくらいだ」


「そうなんだ……」


走りながらヨゼフは、寂しげな顔をする。


ヒアに妹がいるという事実を知り、ヨゼフは亡くした弟のことを思い出して涙を流しかけた。


「どうした? 涙が出そうになってるけど……」


「あ、いや、何でもないよ。ちょっと、妹がいるあんたが羨ましいな、と思っただけさ」


ヨゼフは急いで、涙を腕で拭う。


が、ヒアには彼の悲しい気持ちが、手に取るようにわかった。


「ヨゼフ、君は俺達に、何か隠してないか? 自分の本音とか」


「ヒア、そんなことを聞くもんじゃないよ。かえって、ヨゼフを傷つけるだけだよ」


「いや、大丈夫だよ。素直に言うよ。


前にフィブラス国に行った時に、僕はリタとランディー陛下が再会して、明るげに話しているのが見てとれた。


それが僕には羨ましいことであり、逆にリタへの妬みでもあったんだ」


「……」


リタが何を言おうか迷っている間にも、ヨゼフの話は続く。


「でも、今の僕には、≪新しい家族≫と呼べる魔族達がいる」


「それって、私達のこと?」


「ああ。僕には、一人のお兄さんと二人のお姉さんという存在の魔族――つまり、あんた達がいる。


だから、カルツフォイがいなくても大丈夫。


そう思わなきゃ、安心してあいつも、≪天界ソダクトル≫にいられないからね」


「おう、その意気だ」


「その気持ちをいつまでも大切にしてれば、どんな悪にも立ち向かえるよ」


リタとヒアは、ヨゼフを励ます。


と同時に、彼自身の決意を新たにすることもできた。


四人は神域の階段を上り、神殿の前まで来た。