ガルドラ龍神伝―闇龍編―

(このままじゃ、二人が危ないわ。


でも、どうすれば良いの?


今私が持ってる武器じゃ、フィアロスに勝つどころか、リタ達を守ることすらできない。


火龍神バイル。どうかこの私、火龍族のナンシーに、全ての魔族達を守るための力を与えて下さい。


ほんの一瞬でも、良いから……)


ナンシーは、一生懸命に火龍神バイルに祈りを捧げる。


「ナンシー、何をしてるの? 早く、ヨゼフを援護して」


リタは、ナンシーに注意した。


その時、彼女はナンシーの体が、赤い光に包まれていくのを見た。


(あの光は……。間違いない、あれはナンシーだ。


きっと、彼女自身の龍戦士としての覚醒が始まったんだ)


仲間の覚醒に気づいたのは、リタだった。


彼女は、ヨゼフに言う。


「ヨゼフ、君はナンシーを援護してくれ。


私は引き続き、この火系魔道師と戦う」


「了解、気をつけて」


ヨゼフは額の汗を拭きながら、返事をした。


汗で濡れているためか、リタの鬣がいつもより青くなっている。


それでも彼女は、右手にデュラック・クローを構え、魔法を発動している。


「クロー・スパークル(爪の閃光)!」


リタの砂属性の中級呪文が、フィアロス愛用の剣を折る。


「くっ! 俺の剣を折るとは……。


だが、今のお前の力は、本物ではない。


全て、砂龍神デュラックの力なのだ」


そう言って火系魔道師は、火龍神の神殿を後にする。


(私が、砂龍神の力に頼ってる?


そんなことはないさ。


最も、今のは本気じゃないけど)


リタは先程の火系魔道師の言葉を、少し気にしている。


彼女は、ナンシーの方を向く。


戦いが終わって間もなく、赤い光はまた地面で光り、そして消えた。


ナンシーは目を開き、何があったの、と言いたげに自分の姿を鏡で見る。


「私にかけられてた呪いが解けたのね。良かったわ。本当に……」