≪ガルドラ新聞≫と大きく書かれたその紙は、彼女が仲間を連れて故郷のフィブラス国に帰省した時の様子、王女として≪帰省祝いの式典≫に出席した時の様子などが、特集記事のように載っている。


それを見ると、急にリタ達はそわそわし始めた。


「どうしよう……。僕達が新聞に載るなんて、夢にも思わなかったよ」


「だからあの時、断っておけば良かったのよ。ヨゼフが調子に乗って、砂龍族の男性記者の取材に協力したりするから」


ナンシーはヨゼフを叱った。


が、彼は反発する。


「何だよ。僕だけのせいだって言うのか? ナンシーこそ、旅の記念だとか言ってたじゃないか」


「兎に角、下手したら魔道族の奴らに注目されてしまう危険性だってあるのよ。そしたら私達は、ランディー陛下に首をはねられてしまうわ。私達はリタの守護者よ」


「そこまで!」


二人が新聞のことについて揉めている所を、リタが制止した。


彼女は顔をしかめて言う。


「確かに君達の意見は、両方とも納得がいく。だけど、今更新聞に載ってしまったことを言ってみても、後の祭りさ。そんな暇があったら、今後どうするべきか考えようよ」


リタの意見を聴き、二人は黙って頷く。


その反応を見て、彼女は安心した。


が、先程ナンシーが言っていてことが、気になっていた。


(ナンシーが言ってることは、大袈裟だよ。第一、父上は余程のことがない限り、魔族を処刑したりしないし)


もしかするとナンシーは、内心では私達のことを気遣っているのかもしれないと、リタは思った。


その時、唐突にナンシーが、


「あ、忘れてた!」


と叫ぶように言った。


「どうしたの? 急に叫んで」


「私はこれから墓地に行って、両親の遺骨を埋めて来なくちゃいけないのよ。悪いけど、旅支度が済むまで、どこかでお茶しててくれないかしら?」


ナンシーは早口で言った。


二人は、黙って頷く。


そこで、ゼネラ族長がある提案をする。