リタ達は、神殿の門を出て、一息つく。


「あの召喚獣に襲われた時は、どうなることかと思ったよ。ヨゼフが助けてくれなかったら、確実に溺れ死にしてた」


「まあ、これはランディー陛下との約束だからね。当然さ」


ヨゼフは顔を赤らめて言った。


三人は、乗船場に向かって走る。


船の出港時間が、残り六分しかなかったからだ。


三人が乗船場に着いた時、彼女達の前にラノア族長とスーラルがいた。


「やあ、ヨゼフ。見送りに来たよ」


スーラルは陽気そうに言った。


ヨゼフはありがとう、と言いたげに指を二本出して合図する。


「ヨゼフ……。やっぱり、リタさん達と一緒に行くのですね?」


「ええ。ランディー陛下と約束したのです。リタを守ると」


「でしたら、これを」


そう言いながら族長は、ヨゼフにお守りのような物を渡す。


それは、雫のような形をしたペンダントだった。


「ありがとうございます、族長」


ヨゼフは、族長に一礼をして船に乗る。


船長が出港を告げる。


彼は族長達に手を振りながら、声をかけた。


「用が済んだら、また帰ってきますから」


と。――