そして彼は高く跳び上がり、空中で一回転し、召喚獣を裂いた。


その時既にリゲリオンは、三人の前から去っていた。


(リゲリオン。仲間を置いて逃げて行くなんて。相当な意気地なしだな)


ヨゼフは思った。


少しふらふらしながら、リタ達が彼の近くに来る。


「助けてくれてありがとう、ヨゼフ。君には借りができたね」


四枚の翼を上下に動かしながら、リタは礼を言った。


ナンシーも似たようなことを言い、「この借りは必ず返すからね」と付け加える。


三人は微笑む。


その時、ヨゼフが右手に持っている槍が、青く光った。


やがてその光は大きくなり、ヨゼフと同じく体が青い龍の姿に変わる。


ヨゼフは、その光の正体が、≪水龍神アークレイ≫であることに気がつく。


「あ、あなたは……水龍神アークレイですか?」


ヨゼフは確認するように言った。


水龍神は頷く。


『ああ、そうさ。ヨゼフ、俺はずっと君を見守ってたよ』


「え? それはどういう……」


『君が伝説の冒険家ラルフの長男として生まれ、過酷な奴隷生活を経て、どのように成長してきたかを、十三年間見守ってたってことだよ』


「そしてそのうえで、僕が水龍戦士に相応しいかどうかを確かめるために、試練を与えたのですね?」


『そうさ』


水龍神は頷いた。


それは彼にとって、ヨゼフが新たな水龍戦士に相応しい、と判断しているようだった。


『ヨゼフ、君にガルドラを守るための力を与える。俺が千五百年前に、闇龍を封印した時に使った槍だ。俺はこれからも、君を見守っていくよ』


「ありがとうございます」


ヨゼフは、水龍神から槍を授かった。


同時にそれは、彼が水龍戦士として目覚めた証でもある。