ガルドラ龍神伝―闇龍編―

『最後の一つ(こんなことを聞くと、リタを傷つけることになるけど)――良いかな?』


「良いよ」


『昨夜砂龍城に泊まった時に、ジオ様から聞いたんだ。あんたの母親――レイア王妃様は、あんたを産んで間もない頃に亡くなったんだって?』


リタは、必死に涙を堪えながら頷く。


が、ヨゼフには彼女の悲しみが、痛いほど伝わってくる。


『ごめん、リタ。僕は、あんたを傷つけるつもりで言ったんじゃないんだよ』


「ああ、わかってるさ。あまりにも突然だったから……。もう大丈夫」


リタの乳母が言ったことを確認したのは、やっぱりいけないことだったか、とヨゼフは思った。


と同時に彼は、フィブラス砂漠でナンシーと話した時と同じ過ちを繰り返してしまった、とも思った。


彼はリタに対しての無礼を、どう詫びれば良いのだろうと考える。


「ヨゼフ? もしかして君は今、私が怒ってるって考えてないか?」


『どうして、わかるの?』


「どうしてって……。そりゃあ、もし電話に出てるのがナンシーだったら、きっと彼女も同じ反応をすると思ったからさ。それに、あまり深刻に物を考えすぎるなよ。この旅は、魔界の未来を切り開くためのものでもあるんだからね」


『姫……』


姫という言葉に反応してか、リタは今までのように呼び捨てにしても良いよ、と言った。


ヨゼフは少し遠慮がちに、わかった、と返す。


それから二人は、互いに受話器を戻し、それぞれの寝室で寝た。