そして翌朝――


王族父娘や兵士達を始め、他龍族民の二人も、朝食を取っている。


「朝食までご馳走になってしまって……。どうもすみません、陛下」


ナンシーは頭を下げて言った。


ランディー王は、気兼ねせずに食べるが良いと言いたげに、首を縦に振る。


ヨゼフは場所を弁え、賓のある食べ方をした。


それを見て、リタは笑みを浮かべる。


ふと、二人はリタが衣替えをしていることに気がついた。


チャイナ服のようなデザインの青色の上着と、下にジーパンを履くという組み合わせのルック。


奴隷服は嫌だ、と思ったのだろう。


「リタ、その服……」


「ああ、昨日自分の部屋のクローゼットを開けてみたら、入ってたんだよ。きっと、ジオが用意してくれた物なんだね」


「そうなんだ。それはそうと、荷物は?」


ヨゼフは右の頬を膨らませたまま、リタに聞いた。


ちゃんと用意はできてる、と言いたげに、リタはショルダーバッグを軽く叩く(この中には、武器の爪も入っている)。


二分後、皆が朝食を終え、城の外に出た。


「リタ、気をつけて行くのだぞ。ヨゼフ、ナンシー、娘をよろしく頼むぞ」


「わかりました。お任せ下さい」


ヨゼフ達は一礼をして、リタの後ろに行く。


「行って参ります。キアとの戦いの準備の時が来たら、また戻ります」


リタはそれだけを父王に伝え、ヨゼフやナンシーと共に、龍戦士捜し及び魔道族討伐の旅に出た。