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静かに吹きすさんでいた風もやみ、月が黒い雲の中から姿を現す。


辺りの砂が、サファイアのように青く輝いて見える。


先程まで城内にいたランディー王や兵士達も外に出て、若者達のダンスを見ている。


その中でリタだけは、ヨゼフやナンシーと話し合っている。


「そのドレスにティアラ、よく似合ってるわね。流石は、≪砂龍族の王女様≫ね」


ナンシーはリタを褒めた。


が、彼女はドレスに馴染めなかった。


未成年の彼女にとっては、青いドレスやそれに飾られているルビーが、即位式の雰囲気を醸し出しているようにとれるからだ。


というのも王家のしきたりでは、王位継承者となっている女性は必ず、“ルビーが鏤められた青いドレス”に身を包むことになっているからだ。――


「陛下。殿下お一人で、旅に出しても大丈夫なのですか?」


「大丈夫だろう。あの子は、自分で自分の運命を切り開こうとしている。それに、旅に出るのはリタだけではない。水龍と火龍も一緒なのだ。何も心配することはない」


「はぁ……。いわゆる、“可愛い子には旅をさせよ”ということですね?」


「ほう。ツーリアン、お前もうまいことを言うようになったな」


ランディー王とツーリアン大臣は話し合いながら、リタが冒険に出るのを喜んで見送ってあげたい、と思った。


こうして、二日目の晩は、楽しい一日となって過ぎて行ったのである。