(せめて、魂だけでも退治することはできないのか?)


リタは思った。


すると、魂は声高らかに笑った。


『デュラックよ、俺を倒したければ≪アウン・ファレル≫に来るが良い。


お前達全員、根絶やしにしてくれるわ!


今こそ、千五百年前の復讐をしてくれようぞ』


そう言うと、魂はどこかに向けて、闇の魔力を放つ。


すると、奥の方から巨大な鎌のような手を持った怪物が現れた。


その時、分かれて行動していたリアス達が、ダブによく似た男性型の人形と一緒に戻ってきた。


「リアス……。どうやら、君達とはあまり良くないタイミングで合流したようだね」


ヒアは魂の方を指差し、リアス達に現状を言った。


その様子を見て、また魂は声高らかに笑う。


『デュラック、アークレイ、そしてバイルよ。


まずは、お前達から叩きのめしてくれる。


そいつらの命を踏み台に、我が空間に来るが良い』


そう言って魂は、ワープ装置の中に消えていった。


怪物は、リタ達を食べようと襲いかかってきた。


ヒアは急いで弓を構え、怪物の喉元に向かって矢を放つ。


(ヒア……)


ヒアは私達を庇ってくれたんだ、とリタは思った。


ヒアは弓で怪物の口を塞ぎながら、リタ達の方を向いて言う。


「リタ、君達は行くんだ!


きっと、あの三色の宝石が導いてくれる」


ヒアはリタ達に、希望を託すように言った。


が、半ばナンシーは躊躇う。


「でも……」


「行こうよ、ナンシー。ヒア達の想いを、無駄にしちゃいけない!」


リタは叫ぶように、ヨゼフやナンシーに言う。


二人は首を縦に振る。


その時のナンシーの顔は、ためらいが消えたようだ。


三人はワープ装置に駆け寄り、三色の宝石に強く念じる。


(砂龍神デュラック、他九柱の龍神達、我が母レイア王妃、そして闇龍により亡き者にされた魔族達よ。


私達を、≪アウン・ファレル≫へと導いてくれ!)


リタは強く念じる。


すると三人の強い気持ちが伝わったのか、彼女達は三色の光に包まれ、空へ飛ばされた。