十人が運ばれた場所は、家というよりも貴族の屋敷を思わせる感じの建物だった。


主に白い煉瓦を使ってできているこの建物こそ、男性が住む屋敷である。


その屋敷内の寝室に十個並んでいる赤色のベッドの上に、十人の龍戦士達は寝かされた。


しばらくして、砂龍戦士リタが目を覚ました。


彼女の目の前には、黒いシルクハットを被った男性と、青いドレスに身を包んだ十二歳くらいの少女がいる。


(叔父上、それにルトワンヌまで。


ということは、ここはログテル砂漠なのか?)


リタは思った。


彼女は目覚めて早々、ベッドを貸してくれた礼を言う。


「この度は私達を助けて頂き、恩に着ます、叔父上。


先程までレザンドニウムで、闇龍と戦っていました」


リタが言ったことに、叔父のトルード侯爵と従妹のルトワンヌ姫は目を丸くした。


「アルエスが……。そうか、あなたも大変だったのだな、リタ姫よ。


今夜はゆっくりしていきなさい。


他の龍戦士達の手当ても、必要だからな」


トルード侯爵はまだ驚きを隠せなかったが、心中に追いやった。


侯爵達が部屋を後にしてから、一時間が経過した。


時刻は午後四時を回り、夕方の空がリタの心を憂鬱にさせる。


彼女の右足の腫れや右二枚の羽の傷は、嘘のようにひいていった。


(まだ、みんなは目を覚まさないのか……)


そう思うとリタは、深く溜め息をつく。


あの時、私が無鉄砲にアルエスの前に出なければ、みんなをこんな目に遭わせずに済んだ。


やはり私には、龍戦士達の隊長は務まらないんだ。


リタはレザンドニウムでの出来事について、自責している。


だが、彼女がしばらく空を眺めていると、次第にヨゼフ達が目を覚ました。


彼らはゆっくりと起き上がり、同時に自分が怪我をした箇所を触ったり、鏡で見たりしながら、体の様子を窺う。


(俺達、確かキアの行動に歯止めをかけて……。


というか、闇龍と戦ってというか……。


この辺りの記憶は、曖昧だな)


葉龍戦士ヒアは、首元の傷を手鏡で見ながら、レザンドニウムでの出来事に関する記憶を辿っている。


リタは他九人の無事を確認すると、現状を説明した。