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魔道族のキア領主の呪縛を解き、ことは片付いたかのように見えた。


だがそれも束の間、キアに取り憑いていた魂が、実は千五百年前に砂龍族の第三王子デュラックとその仲間達によって封印されていたとされる闇龍アルエスであることが判明した。


リタは再び闇龍を封じようと、仲間達の力を借りて巨大変身し、彼に立ち向かった。


が、闇龍の圧倒的な力で、彼女達はレザンドニウム領国よりも遠くに吹き飛ばされてしまう。


そしてここは、ポラテルドほどではないが、大きな島。


ガラスが埋め込まれているかのように、太陽の光を反射して、水色の砂を照らし出している。


その光は、十人の少年少女が倒れている姿をも明るく照らし出す。


その光に導かれるように、偶然通りかかった一人の少女が、十人の所に駆け寄る。


「リタ姉様?


しっかりして下さい、姉様!」


青いドレスに身を包んだ少女が、傷だらけのリタの体を揺するが、彼女の反応はない。


心配になって彼女は、試しに他の龍戦士達の体も揺すってみる。


だが、リタと同じく、何の反応もなかった。


(大変。早く、お父様やアナイスを呼んで来ないと……)


少女は顔を真っ青にして、父親と他の男性を呼んできた。


しばらくして、彼女は二人を連れて、リタ達の所に戻ってきた。


「ルトワンヌ、そんなに慌ててどうしたというのだ?」


シルクハットを被った男性が、≪ルトワンヌ≫と呼ばれた少女に訪ねた。


少女は、水色の砂の上に倒れたままになっている十人の龍戦士達を指差す。


その十人が龍戦士達だとわかると、男性は他の魔族を呼び、彼女達を運ぶ。


(それにしても、なぜリタ姫が?


レザンドニウム領国で、何が起きた?)


男性は様々な疑問を感じながら、リタ達を自分の家に運ぶ。