「お前達魔道族の狙いは何だ? ≪闇の大蜘蛛≫を倒した私達は、もう奴隷じゃない。あれは、そういう約束じゃなかったのか?」
「確かに。だがこれは、全てキア様のため、レザンドニウム領国の繁栄のためなのだ。お前達龍魔族を、予め根絶やしにしておかないと、俺達の計画が狂ってしまうのだ」
「“俺達の計画”? どういう意味だ? 教えろ、フィアロス」
「そうはいかない。もし、どうしても教えてほしいと言うのなら、俺を倒してから教えてやるよ」
フィアロスは、半ば脅しのように――いや、彼は全身から殺気を感じさせながら言った。
彼の態度を見たナンシーは、斧を持つ手がぶるぶると震わせ、後ろに一歩下がる。
「リ……リタ……」
「どうした、ナンシー? 手が震えてるみたいだけど」
「怖い……」
「怖い? 何が?」
ナンシーの左手を抑えながら、リタは聞いた。
心配してくれてありがとう、と言いたげにナンシーは落ち着き、なぜ自分が怖がっているのかを話した。
ナンシーが、火系魔道師の全身から満ちている殺気を感じ、怖がっている理由――
それは九年前――ナンシーが魔道師達の手によって火龍族から引き離され、レザンドニウムに連れて行かれる時、彼女は必死に抵抗した。
そう、彼女はその時に会った黒づくめの男性魔道師から感じられた殺気のことを思い出し、震えていたのだった。
リタは彼女の話を聴きながら、火系魔道師と戦っている。
もちろんそれは、ヨゼフも同じだった。
(そうか。ナンシーが奴隷部屋で一晩中涙を流してたのも、さっき手が震えてたのも、九年前を思い出したせいだったんだね)
ヨゼフは思った。
彼は僕達水龍族と似た過去を、砂龍族や火龍族も経験してるんだね、とも思った。
レザンドニウム領国の元奴隷達と、上級火系魔道師との、神殿をめぐる戦いが今、始まる。
「確かに。だがこれは、全てキア様のため、レザンドニウム領国の繁栄のためなのだ。お前達龍魔族を、予め根絶やしにしておかないと、俺達の計画が狂ってしまうのだ」
「“俺達の計画”? どういう意味だ? 教えろ、フィアロス」
「そうはいかない。もし、どうしても教えてほしいと言うのなら、俺を倒してから教えてやるよ」
フィアロスは、半ば脅しのように――いや、彼は全身から殺気を感じさせながら言った。
彼の態度を見たナンシーは、斧を持つ手がぶるぶると震わせ、後ろに一歩下がる。
「リ……リタ……」
「どうした、ナンシー? 手が震えてるみたいだけど」
「怖い……」
「怖い? 何が?」
ナンシーの左手を抑えながら、リタは聞いた。
心配してくれてありがとう、と言いたげにナンシーは落ち着き、なぜ自分が怖がっているのかを話した。
ナンシーが、火系魔道師の全身から満ちている殺気を感じ、怖がっている理由――
それは九年前――ナンシーが魔道師達の手によって火龍族から引き離され、レザンドニウムに連れて行かれる時、彼女は必死に抵抗した。
そう、彼女はその時に会った黒づくめの男性魔道師から感じられた殺気のことを思い出し、震えていたのだった。
リタは彼女の話を聴きながら、火系魔道師と戦っている。
もちろんそれは、ヨゼフも同じだった。
(そうか。ナンシーが奴隷部屋で一晩中涙を流してたのも、さっき手が震えてたのも、九年前を思い出したせいだったんだね)
ヨゼフは思った。
彼は僕達水龍族と似た過去を、砂龍族や火龍族も経験してるんだね、とも思った。
レザンドニウム領国の元奴隷達と、上級火系魔道師との、神殿をめぐる戦いが今、始まる。

