ガルドラ龍神伝―闇龍編―

それらが、リタの目にはっきりと映った。


「あなたはもしかして、ビオラ?」


うっすらと見える空色の体や赤い鬣を見て、リタは目の前の影の正体が、風龍戦士ビオラだと判断した。


ビオラ自身も、彼女の声を聞いて手前にいる魔族がリタだと判断し、武器をしまう。


二人が顔を合わせる頃には、図書室一帯が明るくなっていた。


部屋が暗いことに気づいたリゲリオンが、電気をつけてくれたようだ。


「ありがとう、リゲリオン」


リタは当たり障りのない言葉を、リゲリオンに言った。


二人の魔道師の姿を見て、ビオラは警戒を強める。


それをリタは誤解だと、ビオラに注意した。


その様子を、他の龍戦士達も見ていた。


「違うんだ、みんな。


リゲリオンは、魔道族に囚われたメアリーを助けたんだ。


そして二人は、キアを説得するために同行してもらってる」


リタは、七人の龍戦士に現状を説明した。


七人はまだ、魔道姉弟を疑っている部分もあったが、リタの話を聞き、とりあえず二人を信じることにした。


「わかった。だけど、もし二人が間違ってるようだったら、俺達は止めるからな」


ペレデイスは、半ば意地を張るように言った。


リタは九人の龍戦士を集め、次の指示を出す。


「ヒア、あなた達はここ及び下の階で、魔道族全員を説得してほしい。


彼らがいつまた、私達を襲ってくるか、わからないからね」


そう言ってリタは右の棚に、隙間があるのを確認した。


その指示に納得してヒアは、了解したと言った。


リタはメアリーが言っていた例の白い本を、棚の隙間に差し込む。


すると、向こうの扉の方から、微かに音が聞こえた。


(おそらく、あれが屋上への出入り口の扉が開いた音。


きっと、キアはあそこにいる。


それも、たった一人で)


リタは深呼吸をして、先のことを七人に言った。


「良いかい? 屋上にはヨゼフ、ナンシー、私、そして魔道姉弟の五人だけで行く。


あなた達には、魔道族の説得に成功し次第、屋上に来てほしい。以上」


そう言うと、リタは言葉を切った。


「ああ、俺達に任せろ」


「お気をつけて」


ヒアもアイルも、自分達の役目を把握したような、誇らしげな眼差しで、五人を見る。


ヒアはリタやヨゼフに代わり、他の戦士達を纏める。


十人の戦士達は今、グループとなって行動を開始した。