ガルドラ龍神伝―闇龍編―

リタは鍵の束をショルダーバッグにしまい、あちこちを確かめながら、ヒア達がいる場所を目指す。


その途中、凄まじいほどの冷気と共に、女性らしき悲鳴が四人の耳を過った。


(この冷気……。それに、この悲鳴……。


まさか、メアリーが?)


声の主がメアリーだと思ったリゲリオンは、すぐさまその声がする方へ走っていく。


三人も慌てて、彼の後を追っていく。


大きな鏡があるかのように、何度も似たような通路が続く。


しばらくまっすぐに廊下を進むとそこには、一つの広々とした牢屋があった。


その牢屋の中を覗き、リゲリオンはふと、目を凝らした。


その中にいたのは、鞭を持つ二人の女性兵士と、黒い紐状の物でぎちぎちに縛られている氷系魔道師メアリーの姿だった。


長時間鞭に打たれ続け、彼女が身につけている水色の服や黒いズボンはぼろぼろに破け、水色の髪からは、領国の姫の面影すらなくなっている。


それでもメアリーは、ここから脱出する術を考えていた。


「姫様も諦めが悪いですね。


稚はキア様のご命令に背き、今頃は牢屋……」


「牢屋行き」と言いかけた女性の目には、未だに囚われの身になっていないリゲリオンの姿が映った。


「稚! どうしてここに? それに、龍戦士達まで」


女性達は四人の無事に、驚いている。


「『どうして』? それは俺が聞きたい。


親父は愚か、俺達にすら背けないはずのお前達が、今姉を≪お仕置き部屋≫でぼろぼろにしてる。


これは立派な罪だ。


その償いはしてもらうぞ」


リゲリオンは火系魔道師フィアロスのように逞しい口調になり、女性兵士達を睨みつける。


彼女達はその眼差しに怯み、動けなくなった。


その隙を見て、リタは牢屋の鍵を開けた。


四人は、紐状の物で縛られたメアリーの側に駆け寄る。


三人の龍戦士は、牙で固い紐に噛みつき、緩めていく。


緩める程度にしていたつもりだが、意外にも簡単に紐がほどけた。


メアリーはかなり窶れていたが、なんとか立つことができた。


「ありがとう、リゲリオン。そして、龍戦士達。


私はお父様がリタ姫の父に毒を盛ったことを、あなた達に知らせたくて……」