ガルドラ龍神伝―闇龍編―

「わざわざ変装までして、この城に来て……。


これじゃ、不法侵入と何も変わらないじゃない!


キア様を殺しに来たんだね?


絶対、そうに決まってる!」


今のサンドラにはもはや、戦士達の説得に耳を傾ける余裕すらない。


リタ達が頭を抱えていた時、中庭の出入り口付近から、二十歳くらいの男性が走ってきた。


彼は中庭に来て早々、サンドラに伝えたいことを言った。


「サンドラ、こいつらの言ってることは、全て本当だ。


良い加減に、信じてあげたらどうだ?」


男性の正体は、水系魔道師リゲリオンだった。


サンドラは、彼が言ったこに強く反発する。


「同じ下級のあんたに言われなくないよ。


この千五百年間、龍魔族は十種族揃って、魔道族を騙し続けてきたんだよ。


アルエスがどうとか、私には信じられるもんか!」


涙ながらに、サンドラは言った。


(サンドラ……。本当は心のどこかで、リタが言ったことを信じてるんだ。


でも、龍神となった龍戦士達がアルエスを黒い塔に封印したのは、千五百年前。


そう簡単に信じられるはずがないよね)


スーザンは、サンドラの言っていることに共感しながら、悟った。


スーザンが迷っている間にも、サンドラへの説得は続いている。


「闇龍が封印された黒い塔の地下――あれは間違いなく、この城の地下室のことだ。


そして、あの闇のように黒い石こそが、全ての発端だ。


メアリーは、それを龍魔族達に教えようとして、キアに囚われた」


「つまりあんたは、≪魔道族は龍魔族に心を許してはいけない≫という掟を破るの?」


サンドラの頑固なまでの反発には、半ばリゲリオンもうんざりしている。


「掟? あんなのは、全部まやかしに過ぎない。


俺の考えが正しければ、キア――親父が発する闇のオーラこそが、アルエスの魂を結集したものだ。


違うか?」


「……」


リゲリオンの考えや意見に、サンドラは何も言い返せなかった。


彼はサンドラに、身をひくよう命じた。


彼女は大人しく、中庭を後にした。


それを見送ると、リゲリオンはリタ達の方を向く。


「リタ、お前達に協力してもらいたいことがある。


聞いてくれるか?」