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メルディーンの町で新たな金龍戦士として目覚めたスーザンを仲間にして、リタ達は南側にある停船場まで走り、あっという間に着いた。


そこには葉龍族のヒアを始め、様々な属性の龍族を代表する戦士達がそれぞれの武器を持って待っていた。


「やあ、思ったよりも随分早かったね」


最初に彼女達に声をかけたのは、葉龍戦士ヒアだった。


リタは九人の龍戦士達を連れて船に乗り、フィブラス王国に帰るためにエクストロン島に向かう。


その間に船の中で、十人は話し合いをしながら、食事をした。



――その頃のレザンドニウム領国――


キアは以前よりも多くの脂汗をかき、それは服やマントに染み出るほどになっていた。


双子の魔道師であり、キアの子供でもある氷系魔道師メアリーと水系魔道師リゲリオンが、彼を心配して、玉座の間に向かった。


「しっかりしろ、親父。


前と同じように、指揮をとってくれ」


「お父様、どうしたのですか?」


子供達の心配をよそに、キアは玉座に座り直し、メアリーに席を外すように命じる。


彼はリゲリオンだけを部屋に残し、現状を話し合う。


「例の計画は、どうなっている?」


キアは領主らしくない冷酷な表情で息子を見つめ、意見や感想を求める。


「キア様のご命令通り、あの砂龍王に毒を盛ってきました。


後はこれを餌に、あの小癪な砂龍王女を罠にかけ、彼女を抹殺。


そうすれば、計画は成功です」


領主と話す時、リゲリオンは微量ではあるが、冷や汗を流した。


「そうか。ついに、俺達は勝利するのだな。


あの忌々しい龍戦士達に、復讐ができる」


そう言うと、領主は高い声で笑った。


(デュラックめ、とうとう龍戦士達を全員召集したな。


だが、もうあの時のようにはさせん。


千五百年前に封印されたが、今度こそこの俺が、ガルドラを支配するのだ)


キアが冷酷な微笑を浮かべると共に、彼の周りの闇のようなオーラが、ますます黒く染まっていく。


その様子を見ていたメアリーは、リタ達にこのことを知らせようと、城を出ようとした。


だが、それを城の兵士達や近衛兵達、そして家臣の一人に止められた。


「私に何か用?」


メアリーは家臣達に訪ねた。


意地を張ってみたものの、彼女はかなり困惑している。


その様子は、兵士達の目からもよくわかった。


「姫様、もうこれ以上、あなた様の好きにはさせません。


あなた様といえども、キア様に歯向かった罰は受けて頂きますよ」


そう言って兵士達はメアリーを気絶させ、彼女を鎖で固く縛った。――