ガルドラ龍神伝―闇龍編―

答えが出た時、リタは一瞬、これまでの自分の考えを疑った。


九年前のあの日が来る前まで共存していたはずの魔道族が、急に自分達の都合を押し付けるように襲いかかったりするはずがない。


全ては、千五百年前から始まっていたんだ。


フィブラスの第三王子デュラック率いる龍戦士達が封印したはずの魔物が今、この魔界を支配しようとしている。


キアの体と権力を利用してまで、アルエスはガルドラ各地を我が物にしようとしている。


だが、封印を自らの手で解いたとはいえ、アルエスの力は元には戻らなかった。


有り余るほどの力を再び手中にしようと、自らが持つ能力――つまり、≪命を吸い取る力≫を利用してキアの体に取り憑き、領主の命を吸い取りながら、徐々に覚醒しようとしていたに違いない。


リタ達は自分達が囚われた恨みや家族を殺された恨みなどでキアを憎み、倒そうとまで考えた。


だが、それは大きな間違いである、とリタは思った。


アルエスの陰謀を阻止すること。――


それこそが、砂龍神デュラックの願いだったのだ。


リタはこれから自分達がするべきことに気づき、ラドフィスを説得しようと考えた。


「ラドフィス、君の仲間だったメアリーを覚えてるか?


あの氷系魔道師は、私達に重大な情報をくれたよ」


「リタ! それは私達の秘密でしょう?」


リタはナンシーを睨みつける。


その目からは、「黙って見てな」と言いたげな雰囲気が漂う。


「キアは本気で、私達を殺そうとしてる訳じゃない。


あの城にあった、≪黒い石≫こそが、闇龍アルエスが封印された≪暗黒石≫だったのさ」


リタが言ったことに、ラドフィスは唾を飲む。


「と、ということは、まさか……」


「そう、そのまさかさ。


あの領主は今、アルエスに体を乗っ取られてる。


それも、力が不完全なまま、魂だけで復活した憑依体だ。


これだけ言えば、君達も私達を殺そうなんて、考えないだろう?」


「……」


脅しているような、でも真実を口外する時のリタの緑色の目の輝きに怯んだのか、そのままラドフィスは神殿から立ち去った。


(なんだ? あいつって、意外と臆病なんだな。


キアの配下って奴が、聞いて呆れるぜ)


金系魔道師の行動を見て、ヨゼフは彼に対し、≪弱虫≫の評定を下す。