ガルドラ龍神伝―闇龍編―

ネテリウス族長は、信頼しているのかしていないのか、曖昧な態度でリタ達に神殿の調査を依頼する。


ペレデイスは、首を傾げた。


「なぜ、俺も一緒に?


かえって、リタ達の足を引っ張るだけだと思いますが」


ペレデイスが反対した時、ヨゼフが彼の後ろから肩を叩いた。


「『足手まといだ』なんて、水臭いことを言うなよ。


僕達は今日から仲間。


≪旅は道連れ世は情け≫って、言うだろう?」


ヨゼフは満面の笑みで、ペレデイスに言った。


ネテリウス族長の指示で、ペレデイスが雷龍神の神殿に同行することになった。


(思わず弾みでヨゼフがペレデイスの同行を受け入れたけど、お調子者がいても大丈夫なのかな?


ただでさえ、似たような傾向の男がいるのに……)


今回の冒険に、僅かながらリタは不安を感じている。


それは、ナンシーも同じだった。


四人は早速、神殿に行く準備を整えた。


リタとヨゼフは、自分達が常に装備している武器を磨いている。


一方でナンシーは、ペレデイスの荷物を整理するのを手伝っていた。


その後はペレデイスの家で昼食を取り、雷龍神の神殿に向けて出発した。


出発早々、ナンシーが気になった点を、ペレデイスに訪ねる。


「ねぇ……あなたの荷物はちょっと重たそうだけど、何々入れたの?」


遠慮がちな聞き方をするナンシーに対して、ペレデイスは半ば童心にかえるように答えた。


「外出するともなると、おやつが必要だろう?


だから、それらとか雷龍神ハンスに関する資料なども入れておいたんだ」


「……」


おやつ欲しさなのか、真面目に雷龍神ハンスのことを調べたいのか曖昧だったが、ナンシーはこれ以上は言わないことにした。


ペレデイスがうかれている間に、四人は赤い雲に覆われた神殿らしき建物の前に着いた。


それを包んでいる雲は、靄のようにも見える。


リタは上空から、雲が発生している原因を探る。


(きっと、誰かの悪戯に違いない。


そうでなければ、こんな現象は起きやしないさ)


リタは余裕な態度で構え、雲の発生源に狙いを定める。


しばらくして、砂属性の魔法の一つ、≪クロス・ヒャッカンタフ≫を爪から繰り出した。


彼女が放った爪の閃光は、虹色の光へと変わり、赤い雲が諦めたように晴れていく。


やがて神殿は、真の姿を見せた。


リタが地上に降りてから、四人はもう一度神殿周辺を確認する。


それは宮殿のように大きく、広々としている建物だった。


更にそれには、たくさんの出入り口があった。


それゆえ、下手をすれば、迷って出られなくなってしまいそうな雰囲気を醸し出している。